SENSHU RUGBY 2019 ~ 惜敗するも「専大ラグビー」を魅せた大東戦。東海戦はワンチームで挑む!
対抗戦、リーグ戦1部全校が菅平に集結して行われた関東大学ラグビーの開幕戦、専大は大東大に26-33で負けた。
昨年2位と昨年7位の対決は終盤までもつれたが、前後半とも入りの時間帯で失点した専大は、結局、追いつくことができなかった。
それでもJSPORTSでの放送やラグビーウィークリー(BSテレビ朝日)では、専大の予想外の健闘を讃えるコメントが流れた。
だが、村田監督にとっては計算外の敗戦だったことは間違いない。
試合前、あるOBが監督に「今日は勝てるんだろうね?」と訊ねたところ、即座に「当たり前です」という答えが返ってきたという。
今季の専大の目標は大学選手権出場。その第一関門として春から開幕戦に照準を合わせてきただけに、勝ちにいった試合で1TGゴール差の敗戦は監督としてもチームとしても悔しかっただろう。
しかしながら、留学生のいないチームが大東相手に互角以上に戦えたのだから落胆する必要はない。
試合後の会見で村田監督が述べたがごとく「価値ある」ものとポジティブに受け止めればいい。
実際のところ、菅平のピッチで見せたラグビーは素晴らしかった。
大東大がミスからのカウンターでトライを取ったの対し、専大は戦術が整理されており、フォワードとバックスが一体となった組織的攻撃で追いすがるという展開。
なかでも出色の出来はキャプテンの郡司。
相手のFBの頭を越えるロングキックでエリアを獲得すると、アタックでは自らボールを持って突進、ディフェスを引きつけるとオフロードのラストパスを平山、夏井勇大(この日2トライ)に供給し、トライのお膳立てをした。
後半、入った片岡はゴール前での攻防で友池からのパスを受けると、大東13番シオネ・ロロ・タヴォの強烈なタックルを弾き飛ばしてゴール下にトライ。
専大の4トライはすべてバックスによるものだが、それを支えたのがフォワード。2015年、18年には圧倒されたスクラムが安定し、むしろ相手の反則を誘う。大東にしてみれば自慢のスクラムで圧倒できないことは事前の想定にはなかったはずで、この時点でゲームプランに狂いが生じていたと言える。
残念だったのは前半最初に奪われた大東のトライ。
専大ボールスクラムから郡司が上げたハイパントをうまくタップして自陣側に落としたが、残っていた大東の選手に拾われて一気にトライを取られてしまった。
2本目のトライにしても大東のドロップキックを山極と水野がお見合いしてしまったことがきっかけで、つまらないミスをしなければ十分に防げるものだった。
ただし山極も水野もそれ以外のプレーは素晴らしかった。
とくに水野が後半、相手のパントをキャッチした友池からパスをもらうと密集を切り裂いて突進した走りは、マニアックな言い方をすれば1989年交流試合の野崎のようであった(その後、ラックからボールを出して夏井勇大がトライ)。
さて次節の東海戦はリーグ戦の中では頭一つ抜けていると目される相手。
6月の練習試合では東海がBチームに近い構成だったにもかかわらず21-45と負けている。
ただし専大も石田、山極、郡司、佐藤匠、友池、夏井大樹と柱になる選手が出場していなかった。
このゲームの敗因はモール。東海の強力なモールに対してなす術なく後退し、再三ゴールを割られた。
モールディフェンスは専大の最大の弱点で、なかなか克服できない。もちろん、夏合宿でも対策は練られただろうが、まずはモールによる攻撃をさせないことが重要。そのためには不用意な反則からのペナルティで自陣22m近辺までボールを運ばれ、そこから敵ボールのラインアウトになることを避けなければならない。
村田監督が就任以来、口を酸っぱくして言ってきた「規律」が最重要ポイントになる。
東海がキックオフ直後から圧力をかけてくるなか、相手の強いフィジカルに慣れるまでの最初の15分ぐらいまでで大きく失点することなく、食らいついていくことも重要だ。
ここを凌ぐと試合展開はぐっとラクになる。
近年、留学生のいるチームが少ないにもかかわらず、対抗戦がリーグ戦より優位に立っている。
もちろん明治や早稲田の場合、高校日本代表クラスの選手をリクルートできることが大きい。
だが、慶応、筑波といったチームもそれなりの戦いができている。
一方、リーグ戦勢が強力な留学生を揃えながらも劣勢なのは、個の力に頼りすぎる部分もあるからだろう。
今季の専大はフィジカル面では上位チームと互角になりつつある。
さらに村田監督が仕込んだ戦術が浸透し、勝利のためにワンチームになることができれば対抗戦勢のような戦い方ができるはずだ。
スタメンは大東戦で負傷した水野に代わって花田。
昨年の入替戦で彗星のごとく登場した大型WTBがついにリーグ戦デビュー。
FLのリザーブには5年めの坂本。日本人離れしたフィジカルを武器に、強烈なハンドオフと強い足腰でタックラーを引きずってでも突進するのが魅力。
そしてFBは同じく5年めの松浦(関東協会では古里だったがラグビー部twitterでは松浦)。
正確無比なキックは今季も好調だ。
1部再昇格以来、順調にチームが上向いてきた専大の現時点での力はどのぐらいなのか?
それがわかる一戦となる。
関東大学リーグ戦 1部 第2節 専修大学 対 東海大学
9月7日(土) 15:00KO セナリハウスフィールド三郷
1.石田 楽人
2.宮本 詩音
3.栗山 塁
4.山極 大貴
5.西尾 開登
6.折居 慎斗
7.西小路 大河
8.佐藤 匠
9.友池 瞭汰
10.郡司 健吾(C)
11.夏井 勇大
12.夏井 大樹
13.平山 壮太
14.花田 悠太朗
15.松浦 祐太
16.檀野 友多郎
17.小栗 冬雅
18.森重 慶司
19.熊谷 一生
20.坂本 洋道
21.片岡 領
22.松尾 東一郎
23.小笠原 颯
関東大学リーグ戦 1部 第2節
専修大学 対 東海大学
9月7日(土) 15:00KO セナリハウスフィールド三郷
※この試合はJSPORTSオンデマンド(有料)で生中継されます(見逃し配信あり)。(リンク)
文責:京谷六二