【ラグビー部 プレミア入替戦 プレビュー】2017.12.06
村田亙監督は2012年、就任会見の席上で
「2年以内に1部に昇格し5年以内にリーグ戦優勝を争う。そして創部90周年であり、ワールドカップが開催される2019年に優勝争いを演じられるチームにしたい」
と抱負を述べた。
そうしてスタートした村田体制は、2012年、13年こそ連続3位だったが、2014年に2位で入替戦に出場し日大に勝利。見事に1部昇格を果たし、ラグビー部復活計画は順調に進んでいるかに見えた(この時点でリーグ戦2部2位からの昇格は初)。
が、いま思うに、これは少なからずラッキーな側面もあったように思う。
14年の2部リーグ戦の内容を見ても、関東学院には34-13と完勝したものの、拓大には8-40と完敗。
また東洋には43-40、國學院には34-31といずれも3点差で、とても圧倒するような内容ではなかった。
それでも1部に昇格できたのは、専大が入替戦に向けて万全の準備をした一方で、日大には明らかに気の緩みがあったことが大きい。
そこへ入替戦の独特の雰囲気、さらに熊谷のメインスタンドを埋めた専大ファンの1部昇格を待望する大声援が重圧としてのしかかり、村田監督をして「10回やって1、2度勝てる程度」の相手を前に勝利を掴むことができた。
だが1部で戦った2015年は法政、中央に善戦したものの力不足は明らかで、当面のライバルのはずの拓大に完敗。
山梨には勝って久しぶりに1部での白星を手にしたが結局7位に終わる。
関東学院との入替戦は前半こそ7-3とリードして折り返したが、後半は得点することができず7-22で敗戦。
再び2部降格し、翌2016年は3位に沈んで入替戦出場もままならなかった。
この間、多くの「ればたら」はあった。
しかし「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という野村克也の名言通り、結局のところ専大の敗因は力不足。
ラグビーの神様はそれほど甘くはなかった。
2002年の降格直後から毎年「圧倒的な力で2部を制して1部昇格」と口では言いながら、実際にはいつも掛け声倒れで、2部優勝すらできなかったのが昨年までの姿だったのである。
しかし、今年は違う。
リーグ戦2部で全勝優勝。立正戦こそ僅差だったものの、その他の試合は圧勝。
就任時に監督が
「これまで自分がやってきたフランスのラグビーと7人制ラグビーが合わさったような、スピードあるラグビーを目指したい」
と述べた、その通りの文句のつけようのない内容で入替戦出場を決めた。
今季のラグビー部の試合を見ていると「なるほど、村田監督の目指していること、やりたかったことはこういうことだったのか」と思うことがしばしばある。
昨年までは競技経験のない素人観戦者には今ひとつ意図がわからなかったプレーもあったのだが、結局のところそれは監督の要求するレベルに選手の力、とくにフィットネスがついていかなかったのが原因ではないかと思う。
ところが東芝府中を長年指導してきた竹内明彦ストレングスプロコーチを招聘したことで、選手の身体が飛躍的に大きくなり、それに比例してピッチ上で選手が監督の描くゲームプランを着実に実行できるようになった。
また、ノックオンやラインアウト、エリアを獲得するキックなど試合の流れを止めてしまうようなミスが劇的に減り、しかも試合を経るごとにプレーの質がさらに向上している。
入替戦からすべてを逆算してチームを作ってきた村田監督は、あくまでチームのピークを12月9日に設定している。
それだけに2部優勝からの数週間でまだまだチーム力は上がるはずだ。
松土キャプテン、西村、徳田、池田、梶原にとっては4年間で3度目の入替戦。
中野、吉國も2015年の関東学院戦に出場しており、あの独特のムードを4年生は知り尽くしている。
まして過去2戦とはチーム力もまったく異なるだけに選手たちの自信も揺るぎないものがあるだろう。
実は今夏、村田監督の講演を聴く機会があった。
そこで2017年に1部復帰、2018年は1部定着と大学選手権出場、そして2019年は大学選手権で優勝を争うという3ヶ年計画が提示された。
現在のチームを見ていると、これは夢物語ではない、きわめて実現可能な目標設定といえる。
もちろん、まだ何も知らない他大学のファンが聞けば失笑するかもしれない。
だが、入替戦を見た時、彼らの脳裡に「専修、手強し」のイメージが強烈に焼き付けられるだろう。
今年の入替戦はレジェンドストーリーの第一章を締めくくる試合である。
関東学院大が手強い相手であることは間違いない。この20年間の対戦成績を見ても相手が上回っている。それだけにまずはリスペクトすることが重要だ。
その上で、一人でも多くのファンが熊谷に駆けつけてスタンドを緑色に染め、「俺たちが勝たせるんだ」という意気込みで応援することが1部昇格をより確実なものにする。
なお、この試合はJSPORTSオンデマンドでも生中継されるので、試合会場に来られなくてもネット観戦が可能。それが無理でもラグビー部のtwitterや速報を是非見て欲しい。
つまるところ、入替戦は勝利を願う人の数が多い方が勝つ。
選手、スタッフ、サポーターの心を一つにして1部昇格を掴み取ろう!
関東大学ラグビー リーグ戦1部2部入替戦
12月9日 熊谷ラグビー場 Bグラウンド 14:00KO
文責:京谷六二